ICTとは

ICT(Inner Circle Trader)コンセプトにおける「スマートマネー」とは、銀行、ヘッジファンド、機関投資家など、莫大な資本と情報力を持って市場の方向性を主導する巨大な市場参加者のことを指します。
特徴と考え方

1. 流動性(リクイディティ)を狙う
スマートマネーが巨大なポジションを構築したり決済したりするためには、反対側の注文(買いなら大量の売り、売りなら大量の買い)が必要になります。
そのため、彼らは個人投資家の「ストップロス(損切り注文)」や「ブレイクアウト狙いの注文」が大量に溜まっている場所、すなわち動性プール(Liquidity Pool)を意図的に狙って価格を動かします。
流動性は主に、直近の高値(買いのストップロス=Buyside Liquidity)や安値(売りのストップロス=Sellside Liquidity)、明確なトレンドラインなどの周辺に集中しています。

2. ストップハント(罠と市場操作)
スマートマネーは、個人投資家が教科書通りに「サポート」や「レジスタンス」と見なす安全そうな場所にストップロスを置くことを熟知しています。
彼らはあえてそのラインを一時的に突破させ、個人投資家の損切りを巻き込みます(流動性狩り / Liquidity Sweep)。
そして、ストップロスを吸収して自身の注文を満たした直後に、本来意図していた方向へ急激に価格を反転させます。
これが、ブレイクアウトしたと思ったら逆行する「騙し(フェイクアウト)」の正体です。

3. 「Power of Three (AMD)」のサイクル
スマートマネーの市場操作は、以下の3つのフェーズ(Power of Three)で構成されることがよくあります。
蓄積(Accumulation): 価格がレンジ(横ばい)で推移する中で、スマートマネーが静かにポジションを構築する期間。
操作(Manipulation): 上下どちらかに偽のブレイクアウトを起こし、個人投資家を罠にはめて流動性を刈り取るフェーズ。
分配/加速(Distribution / Acceleration): 十分な流動性を確保した後、本来の方向へ向かって一気に価格を急騰・急落させるフェーズ。

4. チャートに明確な「痕跡」を残す
スマートマネーが介入して価格を急激に動かした際、その圧倒的な資金力ゆえにチャート上には隠しきれない痕跡が残ります。
ディスプレイスメント(Displacement): 力強く一方的な値動き。
フェアバリューギャップ(FVG): 急激な値動きによって生じた、買いと売りの不均衡な価格の空白地帯。
オーダーブロック(Order Block): スマートマネーがポジションを仕込んだ起点となるエリア。
ICTを利用した手法
ICTの考え方を利用した手法はいくつかあります。
海外でも使われているので、自分で使わなくても把握だけでもしておきましょう。
シルバーバレット

1日のうちの特定の時間帯(各1時間)にのみチャートを監視し、決められた条件が揃った時だけエントリーするスキャルピング手法です。
長時間のチャート監視が不要でありながら、スマートマネーの動き(流動性狩り)を的確に狙うため、非常に人気の高いセットアップです。
キャメロンズ・モデル

相場が引き寄せられる「流動性の目標(Draw on Liquidity)」をベースにした手法です。
上位足(1時間足など)で目標を特定: 価格が向かっている明確な高値や安値(流動性が溜まっている場所)を見つけます。
下位足(5分足など)で逆行の騙しを待つ: 目標とは逆の方向にある直近の安値や高値を一時的に下抜ける/上抜ける「ストップ狩り(Stop Raid)」を待ちます。
FVGでエントリー: ストップ狩りの後に形成されたフェアバリューギャップ(FVG)でエントリーし、最初の目標に向けて利益を狙います。
OTE

フィボナッチ・リトレースメントを使用して、最も優位性の高い「押し目・戻り目」を狙う手法です。
直近のスイング(安値から高値など)にフィボナッチを引き、「0.618 ~ 0.786(または0.705)」のゾーンをOTE(最適なエントリーゾーン)と見なします。
この深い押し目を待つことで、浅い押し目でエントリーしたトレーダーの損切り(流動性狩り)を回避し、高いリスクリワードを実現します。
タートルスープ

教科書的なサポート/レジスタンスを頼りにする個人投資家のストップロスを狙い撃ちにする手法です。
明確なトレンドが発生している場面で、あえて直近の安値(または高値)を一時的にブレイクさせ、そこに溜まったストップロスを巻き込んでから本来のトレンド方向へ急反転する動きを狙います。
多くの場合、この反転の起点には上位足のFVGなどが背景として存在しています。
マーケットメーカーモデル

スマートマネーがポジションを構築し、利益を確定するまでの一連のサイクルを下位足で捉えるモデルです。
価格が目標とする上位足のキーレベル(FVGなど)に向かう過程で、階段状に「コンソリデーション(揉み合い)」を作ります。
上位足のレベルに到達した際に、直近の揉み合いを騙し抜ける「操作(Manipulation)」と、その後の強い「ディスプレイスメント(一方的な値動き)」を確認してからエントリーし、元の流動性に向けてトレードします。
エントリーの場所

ICTでは、「どこで(Key Level)」トレードするかを見定めた後、「どのような形(Confirmation)」が出たらエントリーするかを非常に重視します。
代表的なエントリーのトリガーには以下のようなものがあります。
Inversion FVG(反転FVG) 本来機能するはずだったFVGが無視されて価格が突破(クローズ)した場合、そのFVGは「反転」し、今度はサポートやレジスタンスとして機能するという考え方です。
CISD(Change in the State of Delivery): トレンドの終盤で、例えば「陰線の連続(売りのモメンタム)」が「1本の陽線」によって力強く包み込まれる(エンゴルフィング)ような、急激な勢いの変化を示すサインです。
